どんな「起業」をしてきたの?
私が社長になるまで
それではいくつか例をお話しましょう。
あれは今から10年、いや、
15年ほども前のことでしょうか。
インターネットが一般家庭にも
普及しだした時期がありました。
私はインターネットのことを知るやいなや、
「これは、外出するのが大変な
ご年配の方にこそ
役に立つ仕組みだ!」
と思って、
お宅へ伺って、おうちにあるパソコンで、
インターネットやパソコンの使い方を
教える事業をはじめました。
「事業をはじめた」と言うと、
また大げさに聞こえるかもしれませんが、
したことといえば、
・駅前や公民館前、公園などでのビラまき
・お電話をいただいてお宅へ伺い、
実際にパソコンを教える
・お代をいただいて帰る
たったこれだけのことです。
パソコンを人に教えるからといって、
私が特別に、パソコンに詳しかったわけではありません。
ただ、パソコンをネットに繋ぐとか、
パソコンで文書を作るとか、
写真入りのカレンダーを印刷するとか、
もっと基礎の基礎であれば、
パソコンの正しい電源の入れ方と切り方とか、
そのくらいのことは分かっていた程度です。
パソコンのなんとか検定の資格を持っていたわけではないし、
パソコンを教える会社に雇われた経験もありませんでした。
あったのは、
ごく普通に、パソコンを扱える程度の知識と技術だけ。
それでも、
「わざわざ来ていただいてありがとうございます。」
「ワードが使えると、雇ってもらえそうなんです。」
「趣味の仲間との交流が、ずっと簡単になりました。」
「孫に作品を見せたら驚かれたんですよ。」
などなど、
お代だけでなく、感謝の言葉を
いつも山ほどいただいていました。
それは、私にとってはごく普通に、
当たり前にできることでも、
するのが難しい、自分ひとりではできない人が
この世のどこかに、必ずいるからです。
私はいつも、
「今より楽しいことはないかな。」
「もっと良く、便利にできないかな。」
と、自然と考えているので、
実行しきれないほど、
いろいろなこと、
実行すれば人様からお金をいただけそうな、
いろいろな方法を思いつきます。
そうなんですね。
どうしたらお金を稼げるだろう
とは考えていないんです。
みんながもうちょっとずつ、
便利で楽で、楽しくならないかな。
そんなふうに考えながら、
今までにはじめた事業は、
・学校から帰って来た子どもたちを
親の仕事が終るまで、
宿題をしたり、みんなで遊んだりしながら
面倒を見る
・図書館の本の貸出と返却代行
・災害や家事があったとき、
家に残してきたペットの
様子を確認してお知らせする
・ひとり暮らしの方に
毎日お電話をしてお話をする
など、多種多様というより雑多です。
「自分には何でもないこんなことだけど、
やり方が分からなくて困っている人が
いるかもしれないな。」
「こんな便利な仕組みができたのに、
一番役立てられそうな人たちには
情報が知られていないみたい。」
そんなふうに、あなたが、
すでにあるものと、誰かの
橋渡しを考えるようになったら、
あなたはすでに、「脳内起業家」と言えるでしょう。
その考えを実行さえすれば、
あなたはもう、立派な「起業家」です。
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