2006年ごろに
わたくしは統合失調症を発症しています。
けれどそのときの診断はむしろ
統合失調症の可能性はない、というものでした。
ちょっと病気のお話になって申し訳ないのですけれど
どういうことかを説明させていただきますとこういうことです。
あなたも統合失調症=幻聴という印象を
お持ちではないでしょうか。
へんな遠慮はいりませんよ。
わたくしも自分が発症するまでは
そのように考えていましたから。
けれど実際に幻聴があるのは
統合失調症の人の中でも75%ほどといわれています。
残りの25%くらいの人は一生幻聴を
体験することがないという計算です。
それに幻聴自体
べつに統合失調症という病気がなくても
体験することはあります。
よくあるのは映画の雪山での遭難場面。
あるいは砂漠をさまよっているときとか。
その場合幻視として描かれることが多いですが
とにかく幻聴ないところに統合失調症なし
と判断することはできないのですね。
ええ。
そう判断することはできないはずなのです。
が!
おかしな行動が続いたあとで
とうとう意識朦朧(もうろう)として異常行動を起こして
救急車で運ばれる事態になったとき。
当時わたくしを担当した精神科医は
何を言ってもこの質問をしつこいほどに繰り返しました。
「うん。それで幻聴はありますか」
身に覚えがないから
ないと答えるしかありません。
するとその医師の診断は
「幻聴がないのであれば
あなたは統合失調症ではありません」
だったのです。
そのあとも今までずっと
同じ病院に通っています。
そのあいだに担当医は何人か代わりました。
そしてあるときたまたま出会った人が統合失調症で
わたくしが2006年当時の話をすると
「それはあなた、統合失調症だと思うよ。
違う先生なんだったら
もう一度同じ話をしてみたら?」
と言われたのです。
次の診察のとき
すすめられたとおりもう一度話してみました。
今の主治医です。
先生はあわててカルテをさかのぼりながら
その場で
「それはほぼ統合失調症に間違いないと思います」
とおっしゃいました。
2014年のことです。
つまり
2006年にはすでに統合失調症を発症していたのに
2014年までの8年間
その事実を知らずに
統合失調症のさまざまな症状を
ひとりで切り抜けなければならなかったのです。
原因も分からずに
○
○
などの体験をしながら自分のちからだけで生きていこうとすれば
いろいろな工夫が必要になります。
どうしようもなく機能が悪くなった
アタマと
からだで
自分と犬の食い扶持は自分で稼ぐ。
そのためには
わけもなく突然不安におそわれるとか
理由もなく自分がとてつもなくダメな人間に思えて落ち込むとか
なんだか知らないけれどとにかくやる気がまったく出ない
などという精神面での問題は
さっさと取り除いてしまうことがどうしても必要でした。
だって
今一生懸命パソコンで文章を書いているのに
涙がポロポロこぼれてきて大泣きをして何日も過ごしたり
得体の知れない不安のために
なにも手につかなかったり
どうしてもパソコンを起ち上げる気すら起きなくて
何週間もごろごろと意味のない時間を費やしたり
そんなことをしていたら餓え死にしてしまう。
冗談抜きに死活問題だったのですから。