統合失調症な社長、うみかの
働き方に対する考え方をお話してきた
『働く人の数だけあっていいと思う』。
前回までの記事はこちら。
http://togoshicchosyacho.com/2016/01/26/hatarakikata-1/
http://togoshicchosyacho.com/2016/01/27/hatarakikata-2/
最終回の今回は、
30代で統合失調症になり、40代で社長になった
私の経験と目線から、
統合失調症の人に、新しい働き方を提案したいと思います。
あなたにとって一番大切なことを
最優先できる働き方を
私と同じように統合失調症だといっても、
他の人と一緒に作業をすることが重要だったり、
家族以外の人と接する機会が
職場以外では得にくかったりと、
「出勤すること」自体が「働くこと」と同じくらいか
それ以上に重要な場合もあると思います。
私は、自分をよく観察した結果、自分の判断で、
自分にとって大変な、「外に出ること=出勤すること」を
「働くこと」から切り離しました。
そして、何十倍、何百倍か分からないくらい
仕事が楽になったし、仕事そのものに没頭できるようになって、
結果として働きに出ていた頃にはしていたような
失敗もせず、仕事の質を上げることができています。
代わりに、人と接することや、社会との繋がりは、
ボランティア活動や、インターネットで人と繋がる仕組みで
得るようにしています。
はじめの方にも書いたとおり、
同じ統合失調症だからといって、
状況が何もかも同じとは限らないのだから、
誰にとっても私のやり方が一番、とは思いません。
でも、統合失調症の人にとって、
社会や家族以外の人との関わりは
もしかしたら統合失調症を患っていない人以上に
重要かもしれないことを考えると、
人との繋がりまで仕事や職場に求めてしまうのは
少し怖いような気がします。
例えば何かに投資をするとき、
全財産をひとつの投資先に賭ける、
なんてことはあまりしませんよね。
そのうちのひとつかふたつが
ダメになってもそれほどの痛手がないように、
分散させて投資をするのが安全で確実な方法だと
誰もが考えるはずです。
それと同じように、
統合失調症の人にとって、大切な人との繋がりも、
その供給源を一点集中させずに
分散させておいた方がいいと私は思います。
統合失調症の人にとって、
家族や医師、支援施設などで出会う人以外と接することが大切だと
私が思うのは、
●患者としての自分がすべてになって社会から孤立しないため
●患者としての生活がすべてになって
人生に希望を持てなくなることを防ぐため
●自分も人のためにできることがあると実感することで
自分自身に対する価値を見失わないため
などの理由です。
私は今、ひとり暮らしだけれど、
統合失調症だからといって
誰とも関わらずにひとりで生きていくなんて
想像するだけで全身から血の気が引いて
青白く、干からびていく自分が目に浮かぶ気がして
とても淋しく、恐ろしいことです。
家族と暮らしていたり、家族が近くで見守っていてくれている人は
それはとても幸せなことですよね。
それでもこの社会の中で、自分と家族だけの世界だったら
きっと淋しいだろうし、息が詰まるような感じがすると思います。
統合失調症と生きる人にとって、
自分と自分を支えてくれる家族や医師や、
支援施設の関係者以外、
要するに「統合失調症抜き」で接する人との関係は
自分を支え、見守ってくれている人たちとの関係と
少なくとも同じくらいは重要だと思います。
それを、職場だけに求めてしまうのは、
ちょっと危険な気がするんです。
職場に、仕事も、人間関係も、全部を頼っていたら、
何らかの理由で働けなくなったとき、
生きるために必要なすべてを
いっぺんに失ってしまうことになりますよね。
だから、仕事がすべて、になって、
無茶もしてしまう。
無茶をすれば体調を崩す原因にもなるし、
下手をすると病気を悪化させることにもなりかねない。
今より状態が悪くなって、最悪再発なんてことになって、
そのときもし仕事もなかったら・・・と、
余計仕事にしがみついてしまう。
恐怖の連鎖の悪循環は、
統合失調症の人にとってはもちろん、
統合失調症じゃない人にだって、
病気になったり、病気を悪化させる原因にしかなりません。
間違っても、よりよく働ける原動力になんかならないです。
そんな最悪の事態を避けるためにも、
私は、、「家に仕事を連れて来る」という働き方が、
もっと多くの人の選択肢にあってもいいと思っています。
せっかくインターネットが、
それを可能にしてくれる世の中になったのだから。