おわりに 腹式呼吸はしなくていいの?
今回は
鼻から吸って鼻から吐く
胸をふくらませる呼吸で
呼吸劣等生からの卒業を
目指すためのお話をしてきました。
それではいままでよくいわれてきた
腹式呼吸は
間違った方法なのかというと
けっしてそうではありません。
単純に
いますぐムリなくできない方法で
呼吸をしようとしても
ぜったいにからだのちからは抜けないし
副交感神経を優位にすることはできない
というだけのことです。
腹式呼吸をするためには
あちこちのなまっている筋肉に
しっかり働いてもらわないといけません。
ためしに立っているか座った状態で
下を向くように頭をさげて
わざと猫背になってみます。
そしてその姿勢のまま
息を吸ったときに
お腹をふくらまそうとしてみてください。
・・・どうですか。
「たったこれだけ?」
とおどろくくらい一瞬しか
空気を吸えませんよね。
呼吸劣等生のわたしたちは
ふだんから
からだの筋肉が
いまわざとした姿勢のときと
似た状態になっています。
わたしなんか
本来なら自然に腹式呼吸に
切り替わるはずの
仰向けの姿勢ですら
お腹で呼吸をしようとしたら
苦しくてしかたがありません。
呼吸劣等生のかがみですね!
誇れるようなことじゃないんですけど・・・
もし腹式呼吸をしたいなら
からだを正しい姿勢にたもつための
ありとあらゆる筋肉を
きたえなおさなければなりません。
正しい姿勢が
必要ないということはないですけれど
質のよい眠りや
穏やかな気持ちになるために
まず筋肉をきたえましょう
というのでは
時間がかかりすぎてしまいます。
筋肉がきたえあがってくるまで
これからまだずいぶん長いあいだ
このままきゅうくつな呼吸を続けるなんて
考えただけでも気が重くなりますよね。
胸いっぱいに
新鮮な空気を吸い込める
心地よさを”感じる”ことからはじめて
まず先に
とりあえず
副交感神経が優位になる状態を
ムリなく作り出してしまいましょう。
というのが
今回のお話のキモです。
それがたとえ既成事実であっても
からだが気持ちよさを感じて
覚えてくれたならしめたもの。
わたしたちは
からだと気持ちをゆるめて
副交感神経をじゅうぶんに
優位にできる状態で
あとからゆっくり
筋肉でも正しい姿勢でも
身につけていけばいいのです。
あなたも
いまこの瞬間からできる
簡単でムリのない呼吸法で
快適な睡眠や穏やかな気持を
体験してみてくださいね。