勝手にやって来る落ち込んだ気分
特に具体的な理由もないのに
訳もなく落ち込んだ気分になる。
これはうつ病などでも見られる傾向ですね。
失恋したてなら、ご飯が喉を通らなくても、
突然ポロポロ涙がこぼれても自然ですが、
うつ病になると、特にこれといった理由もなく、
失恋したのと同じような、
気分が落ち込んだ状態が続いたりします。
統合失調症も、何の根拠もなく
気分が落ち込むなんてことは
日常茶飯事だったりしますよね。
統合失調症の何が私を
そんなに嘆きたい気分にさせるかと言えば、
楽しいはずのことすら楽しめなくなる
という救いのなさです。
仕事を一日がんばったなら、
家での晩ごはんくらい、
のんびり味わいたいですよね。
お酒をたしなまれる方は、
お風呂のあとの一杯で
生き返ったように感じられるかもしれません。
前回、いいところで終わったドラマの続きを
わくわくしながら見たり、
決まった時間にオンラインで集まって、
仲間とゲームで盛り上がったり。
そんなことが、毎日とはいわず、
週に数回あるだけでも、
大変な仕事に、
「よし! 明日から、来週からも
何とか乗り切ろう!」
と向かっていく気持ちになれますよね。
それが、灰色の絵の具で引かれた円のように、
平坦で何の喜びも感じられない輪の中を
ただぐるぐると歩き続けるような生活だったら・・・。
ちょっと想像しただけでも
胸のあたりががズン、と重くなるように感じませんか。
でもそれが、統合失調症の
調子の悪いときの生活そのものだったりするんですよね。
統合失調症の調子の悪さは、
何かで無理や無茶をしたときはもちろん、
向こうから勝手にやって来たりするのだから
それはもう、余計にやっかいです。
防ぐ手だてもなければ、
その灰色の輪から抜けだすために
できることもありません。
勝手にやって来た調子の悪さが、
同じように勝手に立ち去ることを
ただ待つより他にないと、
私は経験から学びました。
調子の悪いときにも
普段と同じように仕事をこなそうなんて、
あがいても無駄なんですよね。
調子が悪いときには、
調子が悪いときなりの仕事しかできません。
だって、いつもの3倍とか、
5倍とかの力を出してがんばったって、
いつもの3分の1くらいの仕事しか
できなかったりするんですから。
その上、その疲れを少しは取り除けるはずの、
何の愉しみも楽しめないとなれば、
「地獄のような日々」、と形容しても
決して大げさなんかじゃない、と
私は思っています。
そんな、まったく救われようのない、
統合失調症から来る調子の悪さを、
数えきれないくらい経験しているうちに、
あるひとつの発見をしました。
それは、灰色の輪の中から
自力で抜け出すことはどうも無理なようだけれど、
その輪の中からできるだけ早く、
抜け出す方法はある、ということです。
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